『まちを、もっとあかるく』ー戦後復興の時代から、福山にあかりを届ける会社ー福山電業株式会社

代表取締役社長 島田 宗輔

Release: 2024.12.17

Update : 2024.12.18

福山電業株式会社

広島県福山市昭和町6-1

TEL 084-922-6361

https://tovio.com/

『まちを、もっとあかるく』を合言葉に、電気設備工事、太陽光発電、地元広島県福山市のまちづくりに取り組んでいます。 2022年、元大型商業施設(エフピコリム)のリノベーションプロジェクト「iti SETOUCHI」をオープン。まちづくりにも主体的に取り組んでいます、

会社の歴史

Q:まずは、福山電業さんの創業の背景を教えてください。

A:私の曽祖父が昭和21年(1946年)に会社を創業しました。曽祖父は元々警察署長として当地に赴任していて、福山の市街地が空襲で焼失した際は、治安維持や復興活動を先導していました。しかし、GHQの統治下で旧警察や軍人、国家官僚が職を解かれた際に、曽祖父も野に下りました。その頃、福山市街では焼けた電気インフラの復興がなかなか進まず、灯りをロウソクに頼るような家庭が多くあったそうです。この状況を重く見た当時の商工会議所メンバーが集まり、電気工事会社の設立を曽祖父にお願いしようという話になり、福山電業が誕生したと聞いています。

Q:戦後復興の時代に創業なんですね。会社名を“福山電業”にされたのも何か思いがあるんでしょうか?

A:そうですね。福山電業という名前は、地域に根差した会社にするために、福山という地名を使っています。商工会議所の協力で設立され、地域に必要不可欠なインフラを支えていくという思いを名前に込めたようです。昔の資料によると、創業当時、福山には電気が供給されない状態が続いていて、電気インフラの復旧が急務でしたが、電気工事ができる会社がほとんどなく、申請しても電気が通るまで1年待ちという状況で。そこで、電柱の修復や電気工事を行い、生活を少しでも快適にできるよう、インフラを早期に復興させることに力を注いできたようです。

事業紹介

Q:地域のインフラの復興のために創業されたんですね。その流れが今もつながっているということですね。改めて、事業紹介もお願いします。

A:事業としては、今も電気工事業が中心となります。創業当初は、地域のインフラ復興が中心でしたが、電気工事の範囲を広げ、病院や工場、公共施設などの電気設備も手掛けるようになりました。そして、2年程前から、新たにまちづくり事業もスタートさせました。まちづくりっていう言葉が適切かは分からないですが、コミュニティの温度をあげるような仕掛けづくりをやっていこうと始めました。このまちづくり事業と電気工事業が、当社の二枚看板の事業となっています。

Q まちづくり事業を始めたきっかけは何ですか?

A:元々、祭りに協賛したり、アート活動を支援したり、地域との関係性は大切にしてきました。それは、創業の歴史もそうですし、先代社長である父の「科学と技術で人々を幸せにする」という考え方にも表れていると思います。電気工事業としての将来ビジョンを考えたときに、競合他社との差別化を進めていくためには、また自分を含めて従業員の幸福度を高めていくためには、自分たちはこれから何をすべきか考えたときに、「まちづくり」事業というアイデアが生まれました。

「まちづくり事業」は、他社との連携を進めながら、地域で新しいムーブメントを起こしていくきっかけづくりのための事業です。これは2020年4月に採択され、翌2021年5月にオープンした福山市中央公園内のガーデンレストラン「Enlee(エンリー)」から始まります。このプロジェクトに参画したことをキッカケに、ほとんど同時進行でしたが、旧そごう跡地(旧エフピコRim)のパブリックな活用を求める公募に手を挙げた結果、誕生したのが「みんなの希望をつくる場所」こと、iti SETOUCHI(イチ セトウチ)となります。

Q:入居者である私が聞くのもなんですが(笑)、iti SETOUCHI(イチ セトウチ)ってどういう施設なんでしょうか?

A:iti SETOUCHI(イチ セトウチ)は、旧そごう跡地の1階をリノベーションした、賃貸物件とパブリックスペースからなる複合施設です。もちろん、賃貸物件として、オフィス、飲食店、小売店等でのご利用もありますが、一般の方が、シェアオフィスを利用したり、パブリックスペースでイベントをしたり、会議室を利用したり、いろんな使い方ができます。パブリックスペースは、実は館内の50%以上あるんです。屋根のある公園をイメージしていて、一般の方が、ソファやテーブルで飲食をしながら語らいの場として活用もすることができます。一般の方だけではなく、いろんな団体にも、イベントや講演会等でご活用いただいています。

Q:シェアオフィスであるTovioで、結構よく行政や業界団体が会議や講演会をされてますもんね。個人的には、イチセトウチは官民連携の場所っていう印象があります。今後は、この場所をどのように活用していきたいとか、最終的な目標ってあるんでしょうか?

A:実は、はっきりとした目標って決めきれてないんです。もちろん方角は決めていますが。たった2年でも、想像していなかった繋がりが出来ています。例えば、この施設は今は1階しか利用していませんが、2階3階を使いたいという大手企業からの引き合いが出てきたり。2年前には想像していなかった、いろんな広がりを見せています。だからこそ、わらしべ長者の旅に出るとだけ決めていて、それが溺れ死なないように最低限の収支バランスだけは気を付けてはいますが、何年までに何をするとかっていう目標は決めていません。

 ただ、絶対に中継したいポイントだけはあって。大手企業様に、駅前に来ていただき、福山の活性化につなげたいって思っています。福山はものづくりの街で、郊外には優良企業が多くありますが、駅前にはあまり企業がいないのが現状です。だからこそ、この駅前の好立地を、大手のものづくり企業様に、クリエイティブや開発などの1部署だけでもご活用していただき、駅前全体の不動産空室の改善ににつなげていきたいっていうのが一つ目です。やっぱりお金を持っている会社が1社でも駅前に出てくると、福山全体の活性化につながってくると思うので。

 あともう一つが、このイチセトウチを、産学連携の拠点にした先に、いつか学校の誘致につなげたいって思っています。学生、市民、企業の人がうまく混ざり合う場所にしたい。商品開発かもしれないし、採用かもしれないし、教育かもしれない。社会課題解決かもしれない。そういったテーマでゆるくつながれる場所にしていきたいっていうのは、大まかな方向性として、ずっと思っています。

Q:最近、イチセトウチのパブリックスペースは高校生で溢れてますもんね。何か仕掛けをされたんですか?

A:それが、実は、口コミで勝手に広まったんですよ。飲食もできて、図書館のように、勉強もできる、冷暖房完備の場所があるって、いつの間にか、高校生に広まったようで。今や、福山の高校生全員に広まってるかもしれません。

Q:そうなんですね。確かに、いろんな制服の子を見かけますもんね。産学連携のビジョンに向けて、うまくいってますね。でも、まちづくり事業は、収支バランスをとるのが難しそうですよね。そのあたりは、どうお考えなんでしょうか

A:この事業で利益を生むのは難しいのが、実情です。でも、誰かがやらないといけないことだとも思います。そして、こういった事業をやることが、生々しい表現でいうと、企業のブランディング活動にもつながります。広告費を払っていると思えば、多少の赤字は許容できる。しかも、テレビCMを打つよりは、こっちの活動の方が、よっぽど信頼を得られる。福山電業ってこういう会社だよねって、人々の印象に残る。当初思ってもいなかった、いろんな企業とのつながりも増えるし、市民とのつながり、学生とのつながりもできる。そういった捉え方をしています。

仕事のやりがい

Q: 話がすごく変わりますが、仕事のやりがいは何ですか?

A: 仕事のやりがいかぁ、、抽象的で難しいですね。私はあまり儲けようって考えていないんです。私の父もそうでした。最低ラインの収益を維持しながら会社も自分もどうやったら生き残ることをが出来るかを考えるのは、全ての中心にはあります。それに、「人がやっていないことをやりたい」っていうのは、自分のベースとして小さい頃からあるかもしれません。何か人がやらないこと、できないことを挑戦していきたいって考えています。

会社の目標

Q: 今後の会社の目標は何ですか?

A: 私たちは、この地域のオピニオンリーダーになるっていう中長期の目標を立てています。まちづくり事業を通じて、地域の声を集め、その声を形にしていくための仕組みを作りたいと考えています。また、行政や学校、企業と連携して、地域全体の発展に貢献できる存在になっていきたいです。

仕事で大事にしていること

Q:仕事で大事にしていることは何ですか?

A:極めて個人的なことですけど、、嫌われないことです(笑)。昔は尖っていたんですが、、(笑)。こうなったらいいなっていうのをとにかく理想で終わらしたくなくて。愚痴を言い続けても何も変わらないから、だからこそ、いろんな人を巻き込んで、みんなで合意形成をしながら協力していくことが、理想の実現には絶対に必要だなって思っています。これは、JCでの活動で学びました。(笑)

福山YEGに入会してよかったこと

Q:YEGもJCも両方活動されているんですよね。YEGに入会してよかったことを教えてください。

A:よくしていただける先輩とか、いろんなことを一緒にやれる仲間が出来たのは、大きいですね。YEGもJCも両方色濃く活動しているので、単独で話すのがなかなか難しいですが(笑)。利害関係のない経営者が集まっているから、いざというとき、何でも話せるっていうのはいいなと思っています。それに、自分の5年後、10年後を想像するときに、いい意味でも悪い意味でも頭に浮かぶような先輩ができるのは、すごくよかったなと思います。

個人について

Q:休日はどんな風に過ごしていますか?そもそも、お忙しそうですけど、休日はありますか?

A:休日はほとんどありません。YEGとJCの活動で休日は埋まります(笑)。

Q:忙しいですね。趣味はどうですか?

A:映画を見たりするのが好きです。昨日も見ました。プラモデルも好きです。家にいっぱい積んであります。実は多趣味なんですよ。

Profile

福山電業株式会社

Social&Web