公園遊具からテーマパーク設備までを企画から製造までの自社一貫体制で寄り添うタカオ株式会社
会長室室長 設計推進担当 髙尾 英宏
Release: 2024.10.03
Update : 2024.10.03
タカオ株式会社
広島県福山市御幸町中津原1787-1
TEL 084-955-1275(代)
https://www.takao-world.co.jp/
私たちは全国各地の屋内・屋外遊具、公園施設、都市空間施設の企画・デザイン・設計・施工・販売・保守まで、自社で一貫して行っています。 また、全国に13か所の営業所と30社の代理店を置き、 地域の細かな情報収集や万が一のトラブル対応も迅速に行っています。 その他、室内遊具の提供やテーマパークの運営等も行っており、 子どもから大人まで多くの方が楽しく遊び、集える、憩いの場を提供しています。
事業紹介
Q:事業内容についてお聞かせください。
A:当社は全国各地の公園や学校に設置されている一般的な遊具や、ジャングルジム、すべり台、クライミングなどの遊びの要素を盛り込んだ大型コンビネーション遊具、ベンチやシェルター、モニュメントから防災製品などの景観製品、商業施設で求められる体験と一体型の遊具の企画・デザイン・設計・施工・販売・保守まで、自社で一貫して行っています。
Q:福山市、府中市民であれば、誰もが公園で遊んだ記憶のある馴染み深い遊具だと認識しています。
A:そう言ってもらえるととても嬉しいですね。私たちの一番の喜びは、設置した遊具で楽しく遊ぶ子どもたちの笑顔を見ることです。
Q:どういったお客さまからの相談になるのですか?
A:7~8割が官公庁、残りの2~3割が民間の案件になります。
官公庁の仕事といえば、町の公園で見かけるすべり台、鉄棒、ブランコなどから、近隣(福山市)であればエフピコアリーナふくやまや、府中市こどもの国 ポムポムの複合遊具のような大型の遊具などが代表的なものです。 民間の仕事といえば、商業施設などの中にある遊び場などがあげられます。
Q:一般の方のご依頼もあるのですか?
A:はい。例えばご自宅にボルダリング、スプリング遊具や鉄棒などを設置できないかと相談されることもございます。
Q:すごく有名なテーマパークの遊具施設にも携わっておられますよね。
A:そうですね。民間企業様からの依頼にもよりますが、小さな模型やおもちゃからデザインを考え、ご提案させていただいたこともございます。
Q:どのようなノウハウでご対応されるのですか?
A:遊具の提案には建築、土木、機械など様々な知識および経験が必要になります。特に過去の経験が活かされることが多いですね。
Q:民間企業からの依頼でいくつか代表的な実例を教えてください。
A:近年の実績ですと、PayPayドーム横の複合エンターテイメント施設「BOSS E・ZO FUKUOKA(ボス イーゾ フクオカ)」に設置されたチューブ型スライダーです。全長100mにわたるスライダーを、地上40mの高さから一気に滑り降り、スリルもあり楽しんでいただけると思います。
その他に、西武ライオンズの本拠地であるベルーナドームには家族で楽しめる野球のテーマパークとして屋外遊戯施設「テイキョウキッズフィールド」があげられます。
Q:ご依頼はどのような経緯でタカオさんに相談されるのでしょうか?
A:ホームページ、口コミなど様々ですが、皆様、ここでしか体験できないオリジナルの物を作りたいという思いを持たれています。そういった思いに当社が寄り添うことができたことで、今に繋がっているのかもしれません。昨今の大掛かりなテーマパークの依頼はまさにそうした信頼の積み重ねによるものだと思っています。他の遊具メーカーでは対応できない、でも当社ならできるのではないかとお声をかけていただきました。
Q:ありがとうございます。言葉の端々に”寄り添う”というワードが散りばめられていて、1つ1つのご依頼に対する姿勢を感じます。その姿勢はもともと創業当時から備わっていたのでしょうか。過去のお話があればお願いします。
会社の歴史
A:社には、ターニングポイントと言える事例があります。
1985年に東京営業所を開設しました。東京で営業する中で、大型帆船遊具を設計したが、実設計、施工できるメーカーがないということで頭を悩まされているコンサルタントに出会いました。その遊具が1987年に設計施工した赤穂海浜公園の大型帆船遊具です。
大変ハードルの高い物件でしたが、全社一丸となって挑戦し、苦労の末、やり遂げることができました。
そしてこちらの遊具は、当時、日本公園緑地協会の主催する「都市公園等のコンクール」の建設大臣賞を受賞しました。今でこそSNSで様々な情報を発信できるようになりましたが、当時は当社を知っていただく方法が少ない中で、この大型帆船遊具を作った会社として全国に認知される機会になりました。
2015年にリニューアル工事を請け負った際も、強い思いをもって対応させていただきました。
リニューアル前
リニューアル後
Q:創業当時から遊具を製造していたのでしょうか?
A:当社は私の祖父が1955年に創業しました。創業当初は主に幼稚園、小学校の遊具及び体育器具の製作をしていました。公園事業に本格的に参入をしたのは1985年に東京営業所開設してからになります。その後、時代背景と合わせて現在の遊具製造がビジネスの柱となっていきました。
Q:遊具は1985年頃から作っていたのですか?
A:いえ、もっと以前から作っていました。福山駅北口から出た先に見上げたところある遊具は祖父が手掛けた創業当初の製品ですので、会社の記念としていただきたいですね 笑)
Q:素材は当時だと鉄ばかりのイメージですが、今はもう使われないのですか?
A:今も主要部材として鉄は使います。勿論、製品のいくつかのパーツなどは樹脂製品なども使用するようになりました。素材に関しても当時なかったものも組み合わせて提案するようになってきていますね。
当時との違いとしては安全基準が制定されたこともありますね。私が子供のころは基準のない中で遊具が製造されていました。そのため激しい遊びなどによりケガをしてしまうこともありました。その様な実例から遊具の安全基準がつくり込まれ現在の基準が出来上がり、その基準に基づいた遊具が今の形ですね。そういった意味では、祖父の手掛けた遊具は今では提案する事ができないものですから、会社の歴史として大切にしたいですね。
Q:たしかに、昔はちょっと激しい遊具が人気でしたね。
A:そうですね。私の周りにも無茶苦茶な遊び方により遊具でケガをしてしまう子も珍しくありませんでした。しかしながら、どうしたらケガをするということ学ぶ機会にもなっていました。チャレンジングな遊具がなくなっていくのは少しさみしい気持ちにはなりますね。ただ、こうした時代背景に合わせて当社も成長できたと思っています。遊具の安全基準は国交省の指針を受け、日本公園施設業協会で作り上げられたJPFA-SP-S:2024という基準があります。当社もその協会員であり、勿論、基準に沿ってモノづくりをしています。
就業のきっかけ
Q:創業、起業ということではなく就業になりますでしょうか。
A:はい、私がタカオに戻ったという観点でお話します。私には兄がいまして、祖父から数えると4代目にあたります。その兄と一緒に何かを成し遂げたいという想いが昔からあり福山に戻ってきました。兄は営業畑で、私が技術開発畑ということもあって、互いの得意分野が違うことも功を奏しているところだと思います。
Q:前職は何をされていたのですか?
A:私はもともとカメラメーカーで12〜3年ほど、新製品の研究開発に携わってきました。
Q:なるほど、ものづくりの現場経験が今も活かされているということですね。
A:良いものを作るという観点は共通かもしれませんが、タカオに入社した当時は知識が全くなかったので、学ぶことがとても大変でした。扱っている材料も大きさも全く違うので、ものづくりのアプローチから違いますし、本当に混乱していました。
仕事のやりがい
Q:やりがいについてお聞かせください。
A:エンドユーザーの笑顔ですね。直接のクライアントは官公庁だったり民間企業様だったりするわけですが、本当のエンドユーザーは子ども達と保護者の皆様です。遊具で遊んでいる子供たちの笑顔や、その姿を微笑ましく眺める方たちをみるときが、「この仕事をやっていて良かったな。」と思える一番の瞬間です。
Q:出来上がったものが直接見えるというのは喜びになりやすいですね。社風としてもスタッフの方たちがやりがいを感じやすそうですね。
A:それは確かにありますね。自分たちが設計、製作、施工したものが製品になり、実際に使っていただけるのはやりがいにつながると思います。
また採用においては、当社が作った遊具で遊んでいた子が成長し、自分も作ってみたいという想いで就職先として選ばれることもあります。
仕事の大変さ
Q:会社視点と、よろしければ個人視点でもお願いします。
A:少子高齢化と温暖化に対して向き合う必要があります。遊具で遊ぶ子供の数そのものが減っていっている時代と、暑すぎて外で遊ばせられないという環境問題があるため、屋内遊具に対するニーズが増えてきています。そこで当社がご提案できることを考え続けていくことが重要になってきます。
Q:屋内遊具施設の相談が多くなってきていますか?
A:はい、体育館にそのまま遊具を入れるような形もありますし、廃校になった学校と体育館をリノベーショする遊具施設の話もあります。
Q:どのご相談も、依頼主もタカオさんも楽しそうですね。
A:そうですね、皆様、出来上がった遊具で過ごすお子様を想像して活発なミーティングになることが多いと思います。
Q:個人の大変だったことはありますか?
A:大きな製品を海外に届けるという仕事がありました。名古屋のテーマパークの実績がきっかけで、韓国のテーマパークに携わることになったのですが、新型コロナウィルスの問題で散々な目にあいました。行く度にビザ取得が必要でしたし、韓国に到着したらバスで行き先を告げられないまま隔離施設へ移動、帰国しても隔離と、思うように進められないストレスが大きかったです。そのため出張計画が立てづらく、最終的には行き来を最小限とし、韓国への長期出張に変更しました。
Q:工期はどうなりましたか?
A:なんとか間に合わせることができました。
他にも大変だったことといえば、やはり前例のないものについて回答を求められるということでしょうか。
PayPayドーム横の「BOSS E・ZO FUKUOKA」に設置されたチューブ型スライダー設置の際に頂いた様々な質問があります。例えば、このすべり台は滑走用の袋に入って滑るのですが、耐久性はどのくらいですか?と質問頂きました。
初めての環境、初めての素材、初めての滑り台と新製品ならではの回答が難しいものでした。
そこで自分が100回以上滑った回数で劣化する過程を確認し、将来的な劣化を予測してお伝えしたことがありました。
できない、わからないと答えるのは簡単ですが、お客さまへできる限り寄り添うことを考えて、前向きなアイデアを出し続けることが大変さであり、やりがいとも言えます。
Q:100回以上ってすごいですね。
A:かもしれませんね。
Q:とにかくなんでもやるということなんですね。
A:そうです。当社にしかできないことをすることが、やっぱり感動につながると思います。どこの企業でもできることも当然対応しますが、「タカオでなければ」という真髄はターニングポイントでお話した帆船遊具から引き継いだものだと思います。
会社の目標
Q:会社の目標と、個人の夢などありましたらお聞かせください。
A:会社の目標は私の立場としては言葉にしづらいので、私個人の役割としての目標をお伝えします。海外事業は足がかりを作っていきたいと考えています。国内、海外という大きな壁を感じるのではなく、当たり前にできるルートを作っていくことす。
Q:その夢のために今心がけていることはありますか? A:特別なことはしていませんが、今も海外のお仕事の相談はありますので、1つ1つの案件において、お客様の声に応えて行くことで、次の道につながるという想いをもって頑張っていきたいと思います。
福山YEG入会のきっかけ
Q:どんなきっかけで入会しましたか?
A:ある日、当社の応接に商工会議所の事務局の方がいらっしゃいました。会長と打ち合わせをされていたのですが、その場に呼ばれ、「息子を入れようと思っているんだ。」と突然言われまして、「あ、あぁ、はい。。。。。」というのが始まりでした。 笑)
Q:その場で初めて知ったということですか?
A:はい笑) その場でYEGがどういった団体かという説明をいただきましたね。
福山YEGに入会してよかったこと
Q:入会して良かったことを教えてください。
A:新しい友人ができたことです。
私は高校卒業後に地元を離れていたため、福山に戻ってきたのはいいけど、知り合いは少ないという状況でした。YEG入会をきっかけに、経営者同士として、友人として人間関係を築くことができたのは良かったですね。特に今年は委員長の役を仰せつかったことで、助け合う仲間との時間を楽しんでいます。
またYEGで偶然、高校の同級生と再会したのも嬉しかったですね。
入会後の自身の変化
Q:変化したことはありますか?
A:どんな会なのかと探り探りだったり、知り合いもいないしどうしようという時もあったのですが、続けて参加していくと知り合いが増え、孤立するということなく今では楽しみながら過ごしています。
Q:事前にいただいたコメントではかなり固い内容がありましたが?
A:それは特に今年はという視点ですね。委員長という立場を仰せつかって、仲間とはいえ自分の作る様々な書類が多くの経営者に見られるわけで、その時に半端なことをしてしまうとタカオという会社もそんな仕事をしているんだろう、と思われるかもしれない。ですから、タカオ株式会社の看板を背負って参加しているという気持ちで役を担っているつもりです。
福山YEGでつながりたい人物・企業
Q:YEGで出会いたい方や何かができる企業とつながりたいといった想いはありますか?
A:何かができる会社とか、特定の人に出会いたいというのはありません。人として尊敬できる人と知り合いたいと思っています。人柄でもいいですし、仕事へ向き合うスタンスでもいいですし、どんなことでも素晴らしいなと思って勉強できるので、尊敬できる方と出会えたら嬉しいです。
福山YEG入会後に困ったこと
Q:困ったことはありますか。
A:外食する機会が増え、余分なお肉が身についてしまったことでしょうか 笑) 自覚症状があるし、他からも言われるし。親睦深めること自体はとても楽しくて自分としても求めることではあるのですが、身体についてくるものは望んではいませんでしたね 笑)
Q:体重の問題一択なのですね。 A:はい、幸い会社は私が不在もきちんと業務を遂行してくれるチームがあるので、その存在にはとても感謝しています。その分、私はYEG活動から少しでも会社に貢献できることを持ち帰るつもりです。
個人について
Q:休日はどうお過ごしですか?
A:小学生の子供と遊ぶことが多いです。
Q:手掛けた公園にいくこともありますか?
A:それはもう笑 そして子供から厳しい評価をもらっています。ここは楽しいとか、ここはもういいやとか、色々なことを教えてくれます。それは単純にその公園の大小や遊具の良し悪しではなく、その子の性格や今やりたいこと、一緒に遊ぶメンバーなど、子供の気分次第でいろんな遊び方や言葉を発するのでその1つ1つが面白くもあり、学びにもなっています。
Q:趣味はありますか
A:気晴らしのドライブが好きですね。気分転換というか。後は前職の影響でカメラは好きですね。ただ、メカ機構の部分をみたり、考えたりするのが好きという意味なので、少し人とはカメラの見方が違いますね。結局、子供と遊ぶことが楽しいので多くなりますね。
Q:子供中心の生活ということですね。
A:そうですね。上が女の子というのもあって、最近はいつまで一緒に遊んでくれるかなぁと思いながら今を大切に過ごしたいと思っています。
Q:特に個人の趣味趣向みたいなものは少ないですかね?
A:そうですね、音楽や著名人、漫画などもそこまでこれという想いのあることはないかもしれません。飲むならビールというのも答えやすかったというぐらいですね。
Q:自分を表す一言は、石橋を叩いて渡る、もしくは壊すタイプとありますが。
A:良く言えば、慎重派です。物ごとを即決するのが得意な方ではなく、1つ1つ大丈夫かなと確認しながら進める性格かなと思います。
Q:YEG活動の提出資料の完成度や、今回の取材に対する準備も万全でびっくりします。他の委員長が資料を出すときに、一般レベルなのに「悪い」と思われてしまうぐらいすごいという声がありますね笑
A:いやいや、総務の委員会もこれまでの先輩方の積み重ねがあるので、その意思、意図に沿ってやらせていただいている感覚ですよ。ただ、そのまま活用するのは芸がないし、せっかくなら少しでも良く、また来期担当する人がやりやすくなればいいなと思っています。
フリー質問
Q:会社の最高傑作はなんですか
A:人によって回答が違うと思いますが、私が携わった中で言いますとテーマパークのお仕事とか、EZO FUKUOKAのすべり台ではないかと思います。
Q:国内シェアや福山市でのシェアはどのくらいですか?
A:福山市周辺についてはかなり当社のシェアが大きいのではないかと思います。売上だけでいえば当社より大きい会社もありますし、当社が地元ではないエリアでは、やはり地場の企業で強いところもたくさんあります。他社に負けない様に、新しいことに挑戦していきます。