10人の社長を育てるため、地域と人に寄り添う経営スタイルのFJコーポレーション藤田敏文

代表取締役 藤田 敏文

Release: 2025.01.29

Update : 2025.02.06

株式会社FJコーポレーション

広島県福山市卸町6-18

TEL 084-959-3272

https://fj-golf.com/

FJコーポレーションはシャルダン商会のセカンドキャリアを考えた結果誕生した会社です。現在、飲食店と空調設備業を展開し、2024年にゴルフシミュレーションバーをオープンしました。スタッフと地域の幸せを願って邁進中です。

事業内容について

―まずはじめに、事業内容についてですが、飲食店2店舗の経営と空調設備業ということですね。このあたりをもう少し具体的に教えていただけますか?

ありがとうございます。はい、弊社は2019年8月に法人化いたしまして、私は有限会社シャルダン商会の取締役常務を務めております。当社は運送業の中でも、ただの運送ではなく重量物運搬を専門としており、ピアノの設置や、後ろにあるコピー機の運送といった仕事に特化しています。

飲食事業を始めた経緯

代表は私の兄なのですが、当時「これからの時代は定年が60歳ではなく、65歳、70歳になっていく中で、全員が現場の最前線で働き続けるのは難しいよね」という話をしました。そこで、セカンドキャリアを見据えた飲食業を始めることで、社員を受け入れられる環境を作ろうと考えました。それで、2019年8月に福山の伏見町で「さすらいのカンテキ」という焼肉店をオープンすることになり、経営の勉強も兼ねて法人化を進め、私が代表を務めることになりました。

お店はその後、2019年9月12日にグランドオープンしました。

コロナ禍での苦難と挑戦

その後ですが、皆さんもご存じのように、4か月後、5か月後にはコロナが直撃しました。本当に紆余曲折がありました。「やらなければよかった」と思う瞬間も正直ありましたし、何度も潰れるのではないかという時期を経験しました。

ただ、シャルダン商会のセカンドキャリアとして始めた事業ではありましたが、最初に一緒にスタートしたスタッフたちはシャルダン商会とは関係なく、私についてきてくれた人たちでした。そのため、辞めるという選択肢はどうしても頭には浮かばず、補助金や仲間の支えを借りてなんとか運営を続けてきました。

空調設備業の立ち上げ

そして2020年、約1年半ほど経ったころ、昔から仲が良かった後輩たちが「ぜひ藤田さんのもとで働きたい」と長年言ってくれていたこともあり、「じゃあ、なんとか雇おうか」という話になりました。焼肉店が厳しい状況だったこともあって、スタッフと面談を重ね、「何ができるか」を一緒に考えたところ、そのスタッフの中に空調業の1級工事免許や管工事免許を持っている者がいました。

実は運送業と工事業は相性が良いというのは以前から感じており、いつか空調業に取り組みたいと思っていたこともあって、焼肉店が苦しい中でも新たな事業を立ち上げる決断をしました。こうして、空調設備業をスタートさせたという次第です。

バレーボールと人とのつながり

私は小学校5年生から大学生までずっとバレーボールを続けてきました。小中高大と各世代でキャプテンを務めさせてもらい、大学時代には地元ということもあり、後輩たちの面倒を見る役割を監督から任されていました。金銭面やメンタル面でも支え、地元の兄貴分のような存在として後輩たちと向き合ってきたんです。

その中で、ありがたいことに「仕事内容は何でもいいからそばに置いてほしい」と言ってくれる人たちがたくさんいました。その流れで、新しい挑戦にも共に取り組むようになりました。

人とのつながりと組織の成り立ち

少し話を掘り下げると、私が所属しているシャルダン商会の部長・課長のほとんどが、私の大学の後輩です。さらにこちらのスタッフも、広島県出身の子もいれば、宮城や愛媛など遠方から「ぜひ一緒に働きたい」と言って集まってくれた人たちです。事務スタッフも数名が、バレーボール時代のマネージャーや女子バレー部のキャプテンなど、昔からのつながりのある人たちですね。

そうなんです。もう本当に長い付き合いで、古いところだと16歳からの関係。今、私は43歳ですが、一番年齢が近い後輩が39歳、最年少は26歳くらいまでと、幅広い世代と付き合いがあります。

自分の人脈だけで採用が成立

今、私のつながりで入社したスタッフは、シャルダン商会で10数名、FJコーポレーションでは求人広告なしで、完全に人脈だけで採用した正社員6名で運営しています。

ゴルフシミュレーションバーの開業

話を戻しますと、もう1店舗の飲食店についてですが、これはちょうど1年前に開業しました。「さすらいのカンテキ」が厳しい時期が続いていたので、事業再構築補助金に採択されたことをきっかけに、2023年1月26日、住吉スクエア3階にゴルフシミュレーションバーをオープンしました。

私自身、コロナ禍でゴルフを始めてハマったのもありますし、一緒に働いていた社員2人も「どんな内容でもいいから一緒に働きたい」と言ってくれたことが大きな決め手でした。ただ、空調業だけではなく、新しい事業を考えなければと思い、補助金に挑戦することになりました。

補助金の申請や承認までにも時間がかかり、入社したスタッフと一緒に試行錯誤しながら、物件の取得や工事を進め、最終的にオープンに至りました。

物件探しの苦労

最終的に、福山YEGの先輩でもある河村社長にお願いすることになった物件選びですが、補助金が採択されてから9か月間、なかなか決まりませんでした。その間、福山市中の貸し物件を片っ端から見ました。ゴルフをしない方でも想像がつくかもしれませんが、シミュレーションゴルフには天井の高さと奥行きが必要で、条件を満たす物件がほとんどなかったんです。

最終的に河村社長のところでお世話になることになり、ようやくオープンできました。

飲食店の移転と新たな挑戦

現在、「さすらいのカンテキ」は席数が少なく、お客様を十分に受け入れられない状況になってきているため、移転を考えています。さらに、地元のご縁を活かして、ラーメン店「支那そば 花」の引き継ぎも進めています。

空調設備業も、レスポンスの速さを重視し、依頼があればすぐに対応することを徹底しています。自分たちで手が回らない場合でも、協力業者と連携し、必ず解決策を提供する。この姿勢が信頼につながり、事業の発展にも寄与しています。

2023年10月、経営の最大の危機

2023年10月は、経営において最も厳しい時期でした。1週間後の支払いの目処が立たず、事業存続の危機に直面しました。

理由は明確でした。「さすらいのカンテキ」は回復しつつあったものの、空調設備業は一般家庭向けだけでは収益が安定せず、ゴルフバーもオープン予定が物件探しの影響で9か月も遅れたことが響きました。また、工務店との工事契約も延びに延び、資金繰りが非常に厳しくなりました。

破れかぶれの営業で光を見出す

自己資金も底を尽きかけ、「もうバカになるしかない」と覚悟を決めました。前夜に営業先をリストアップし、翌朝から1日100件以上の電話をかけ続けました。その結果、約500件に1件は話を聞いてくれる会社があり、そこから少しずつ仕事が生まれるようになりました。

2か月間で4,000件以上電話をかけ、結果的に15社ほどの新規取引先を獲得。現在では中四国エリアの大手企業とも取引ができるようになり、業績は非常に順調に伸びています。特に、大手チェーン店の空調設備の全店舗入れ替えなど、大規模案件も任されるようになりました。

自分自身の成長と経験

以前から営業には自信を持っていました。シャルダン商会で数々の実績も残してきた自負もありました。でも、42歳になった今、さらに本当に強くなったなと感じています。やっぱり「経験は力」だと改めて実感しました。

40歳ぐらいの時に経験したことが、今の自分を作っているんだと思います。入社したばかりの頃に初めて取り組むような感覚を、この年齢でまた味わうなんて、予想していませんでした。

家族の支えと奮起

当時は本当に苦しい時期で、特に妻には感謝しています。我が家には小学生の子どもたちがいますが、当時は上の子が1年生か2年生、下の子がまだ年中くらいでした。私は妻に「子どもが中学年くらいまでは家で見てほしい」とお願いしていましたが、そんな中でも妻は何も言わずに働きに出てくれました。その姿が、私にとって本当に奮起させられる出来事でした。

経営者としての5年間の試練

経営者として事業を立ち上げた方なら、多かれ少なかれ最初の5年間で苦労を経験されるのではないでしょうか。私も例外ではありませんでした。ただ、その苦しさを「努力」とは思っていないんです。「生き抜いた」という表現が一番しっくりきます。振り返ると、大変なことがたくさんありましたが、それらが今の自分を支えていると思います。

他社との差別化ポイント

次に、他社との違いについてですが、正直まだまだ小さい会社なので、技術や資本面では大手にはかないません。ですが、私たちがこだわっているのは「レスポンスの速さ」です。

飲食業でも空調業でも、まずはお客様に安心を与えることが大切だと考えています。例えば飲食店では、予約の電話を受ける際に「少々お待ちください」と言わず、すぐに返答できるよう、スタッフには予約状況を頭に入れておくよう徹底しています。このような細かい対応が、お客様の満足度を見えないところで高めると信じています。

空調業でも同じです。どんなに忙しくても、いただいた仕事には「ありがとうございます、喜んで」と答える精神を大切にしています。自分たちで対応できない場合は、この1年で信頼できる協力業者を見つけてきたので、必ずお客様の元に駆けつけられる体制を整えています。

言葉に対するこだわり

ーインタビューへの受け答えが簡潔でとてもわかりやすく驚いています。

いえいえ、ありがとうございます。私は営業職を経験してきたこともあり、「自分がされたいことを、自分がしたい」という考えを持っています。だからこそ、話す言葉には強いこだわりがあります。相手の時間を無駄にしないよう、できるだけ分かりやすく、簡潔に伝えることを心がけています。

お客様や周囲の方々から信頼されるためには、誠実であることが何より重要です。そのため、レスポンスの速さや話し方の丁寧さには特に気を配っています。

会社の目標と地域貢献

冒頭でもお話ししましたが、私の大きな目標は「10名の社長を育てる」ことです。そして、中期目標としては、現在6名の正社員とアルバイト10名の規模を、5年以内に全体(アルバイトさんも含む)100名規模にしたいと考えています。そのためには、地域に愛され、お客様に必要とされ続けることが重要だと思っています。

また、地域貢献にも力を入れたいです。例えば、子ども食堂のような活動を直接立ち上げるわけではありませんが、知り合いの方々が行っている子ども食堂に食材を提供したり、イベント開催時にはスタッフを派遣したりと、サポートできることを積極的に行いたいと思っています。

運動が得意なスタッフが多いので、会場設営や荷物運搬なども含め、地域活動を支えられる会社でありたいです。そのためにも、まずはしっかり利益を上げてスタッフに十分な給与や手当を支払い、無理なく活動に参加できる環境を整えたいと考えています。

ただ、外面ばかり良くして自分の会社のスタッフを大切にしないのは、自分の理念とは違います。社員を家族のように大事にしながら、地域にも貢献できる会社を目指していきたいです。

YEG(福山YEG)への入会のきっかけ

以前からYEGのことは知っていましたし、何度かお誘いもいただいていました。ただ、先ほどお話ししたように、当時はとてもそれどころではなかったので、のらりくらりとお断りしていたんです。

入会の決め手となったのは、ゴルフバー開業をきっかけに、河村社長からお誘いいただいたことです。その時は、「では入ります!」と決断し、入会させていただきました。

入会のタイミングと判断基準

当時、正直申し上げて資金繰りの状況ではYEG参加に時間を割くことに不安もありましたが、長年営業をしてきた経験から「きっと未来につながるだろう。」という肌感覚がありました。

私の持論として、「忙しいときこそ未来へ向かって動け」と常に言っています。今の状況は、半年から1年前の行動の結果。飲食業も運送業も空調業も、今の状況を作るのは過去の自分の行動なんです。忙しい時ほど、半年後の仕込みをしなければいけない。私は自分にも言い聞かせていますし、社員にも常々伝えています。

YEGへの入会も、未来への投資という意識で決めました。結果として、非常に良いきっかけになったと思います。

YEGの活動と出席率

ー委員会の活動にも積極的に参加されていますか?

はい、すべて出席しています。今期開催されたすべての例会や委員会に出席していると思います。

研修委員会での学び

現在は研修委員会に所属しています。一昨日の活動も、とても良い経験になりました。特に飲食店経営をしているので、学ぶことが多かったです。勉強になる機会が続いていて、すごくありがたいですね。

YEGに入会してよかったこと

私はもともと、年上の方々から学ぶことに興味がありました。成長するためには、新しい刺激が必要だと考えているからです。ただ、会社やシャルダン商会にいると、どうしても自分が「教える側」になってしまうんですよね。そのため、ある意味で成長が止まっていた部分がありました。

YEGに入ることで、新しい業界や経営者の方々と出会い、刺激を受けることができました。例えば、社名は知っていても、直接お会いしたことがなかった方々と話す機会が増えました。実際にお話を伺うと、「あの有名な会社の社長が、こんなにざっくばらんな方だったんだ」と驚くこともあり、視野が広がりましたね。

また、例会や委員会の準備を見ていて、社長や経営者の皆さんが1つのプロジェクトのために、指示系統もなく協力して動く姿に感銘を受けました。雇用関係ではなく、純粋な組織運営として人が動く。その真摯な姿勢を間近で見て、私自身、組織運営について学ぶことが多いと感じています。

地域活性化への関わり

ー地域活性化のイベントにも参加されていますか?

はい。実は、飲食店を経営している関係で、地域活性化委員会からも「おいでよ」と何度も声をかけていただきました(笑)。なので、2月1日に開催される冬祭りでは、「支那そば」を提供する予定です。

YEGに入会しての変化

ー入会後、ご自身の変化は感じますか?

正直、まだ入会して1年未満なので、現時点では「大きな変化」とまではいきません。ただ、いくつかの点で影響を受けています。

まず、YEGの例会の進め方がすごく参考になります。特に、北会長のトークがめちゃくちゃ好きで、すごく聞きやすいんです。お人柄もそうですが、言葉選びのセンスがあるというか、とても知的で、話し方も勉強になります。登壇される方々の話し方やマイクの使い方など、少しでも学び取ろうと思って聞いています。

また、実際にお店に来てくださる方も増えました。ゴルフシミュレーションバーや焼肉店に足を運んでいただける機会が増えたのは、本当にありがたいですね。

繋がりたい人・企業

飲食業に関しては、お顔を知っていただければ来ていただく機会は多いですが、空調設備業に関してはまだまだ発展の余地があります。そのため、エアコンの取り換えや清掃を必要とする企業様とつながりを持てれば嬉しいです。

BtoBの案件として、空調設備の導入やメンテナンスを検討されている企業様とお知り合いになれたらと思っています。もちろん、そういった現場には私自身も飛んでいきますので、一緒にお仕事をしながら経営者仲間としてもつながっていけたらと考えています。

雑談と趣味について

ーありがとうございます。では、ここから少し個人的な質問をさせていただきますね。ブレイクタイムということで、ちょっと気楽にいきましょう。本当にいろんなところでお話を聞かせていただいてますが、想像できない話がたくさんあって面白いですね。

ありがとうございます。僕もそちら側で話を聞きたいぐらいですよ。

ー本当に?やりたいですか?

はい。人の話を聞いたり、引き出したりするのが大好きなんですよ。

ーそれは素晴らしいですね。ぜひ会員ネットワーク委員会で挑戦してください!

休日の過ごし方

ゴルフが大好きなので、休日はゴルフをすることが多いですね。ただ、日曜日は家族と過ごす時間を大切にしているので、朝早くにゴルフに行き、昼からは家族サービスをするようにしています。

例えば、朝7時頃にスタートして、12時頃にはラウンドを終わらせる。夏場などは、暑くなる前にゴルフを終えてしまうんです。その後は家族とゆっくり過ごします。

旅行も半年に1回くらいのペースで行きます。普段は家族を放ったらかしにしているので、アンケートを取って子どもたちが行きたい場所に行くことが多いですね。最近では名古屋のレゴランドやユニバーサルスタジオに行きました。

好きなもの:音楽、本、人物、お酒

音楽は、流行りの曲をラジオやテレビで聴く程度ですね。掘り下げることはあまりありません。

書籍に関しては、圧倒的に影響を受けたのがある1冊があります。

この本が僕を救ってくれたと言っても過言ではないぐらいの本で、1ページごとに心に刺さるメッセージが詰まっています。テンションが下がった時、この本を読むと奮い立たされるんですよ。短文で構成されているので、時間がない時でも読みやすいですね。

好きな人物は、大谷翔平選手。ポスターを会社に貼ろうかと思うくらい好きです。彼を見ると「可能性は無限大だ」と思わされます。

お酒は麦焼酎が好きで、翌日に残らないのがいいですね。ただ、エアコンの夜勤がない限り、ほぼ毎晩飲んでいます(笑)。

自分を一言で表すと?

「でかい」ですね(笑)。声も、顔も、体も大きいです。中学1年生の時には身長が183cmありましたし、今では185cmあります。ただ、高校に入ったら、周囲と比べると『小さい方』に見られることもありました。

苦手なことは?

中学時代には、県の選抜メンバーとして全国大会にも出場しました。ポジションはセッター以外はほぼ全部経験しています。攻めることやマネジメントは得意なんですが、事務作業や裏方仕事はあまり得意ではありません(笑)。

周囲へのメッセージ

YEGのメンバーをはじめ、多くの人と出会う機会がありますが、よく「黙っていると怖い」と言われます。ですが、普段はできるだけ笑顔で接するようにしていますし、気軽に声をかけてもらえると嬉しいです。

例会などで体の大きさや雰囲気から怖がられることもありますが、話してみれば意外と親しみやすいと思っていただけるはずです。いろんな人とお話をしたいと思っているので、ぜひ気軽に声をかけてください。

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