地方企業の売上を伸ばす“全体設計型マーケティング”とは|福山の合同会社八千代に
代表社員 吉田武史
Release: 2025.12.01
Update : 2025.12.05
広島県福山市を拠点に、中小企業の「売上アップ」と「業務の効率化」をお手伝いする会社です。 会計ソフトや顧客管理システムの導入など、日々の仕事を楽にする仕組みづくりから、GoogleやSNSを活用した新しいお客さまを集める仕組みづくりとロイヤルカスタマー化までを一緒に進めています。 「人手が足りない」「宣伝や集客に時間が割けない」といった中小企業ならではのお悩みに寄り添い、限られた人員でも成果を出せるよう、計画づくりから実行、改善までを伴走型でサポートしております。
事業紹介
— アイデアを形に変えるプロデューサー、という感じです。全体的にはプロデュース業に近いですね。1983年生まれ、東京・渋谷出身。関西大学商学部でマーケティング専攻。卒業後はNTTデータでSEを2年ほど。そこで使っていたのがSAPという超大規模なシステムで、材料の発注や購買、製造、流通、販売、財務会計・管理会計まで全部つながるものです。社会人3年目からは、SAP導入コンサルをドイツ系企業でやってました。リーマンショックのあと会社が競合に買収されて、そこで退職。建設関連の消耗材メーカーに転職して営業をやって、1年目で全国3位の売上に。そこから3年ほど働いて、ブログやブローカー、Webで稼ぐ形に移行して、31歳でサラリーマンを卒業しました。
— 2018年に福山へ移住。誰一人知り合いがいない状態から、妻の宿泊・空間デザインの事業を立て直し。Webの作り直し、コンテンツ、セールスライティング、コピーは全部自分で。アフィリエイトをやっていたのでコンテンツ作りの力はついていて、予約サイトの上位を狙って施策を回し、2018年に「.com系」ホテル予約サイトの民泊部門の広島県内で1位になりました。そこから“Web”じゃなく“マーケティング”として勉強し直し、企業のブランディング、Web制作、Web広告の運用までやっています。総務省の外部専門家にも登録されていて、府中市のブランディングや観光の仕事も一時期やりました。中小企業庁の認定外部専門家として、業務改善やシステム導入は“プロセス改善してからシステムを入れて調整する”というやり方で、DXと言われる前からやってきました。会計システムの導入、資金繰りの先行管理、工務店の財務改善、資金調達も見ています。
— 2023年に法人化(マーケティングのコンサル会社)。商品やサービスの販売だけでなく、人材採用もマーケティングとして設計。個人側ではSEO、コピー/セールスライティング、コンテンツ制作、動画制作まで。広告用の動画は外注するより自分で作った方が早いのでやります。実績でいうと、1棟貸し宿のMEO設計、尾道ラーメン店のLINE公式で半年6,000件獲得、府中の精肉店でGoogle広告1万円から毎月10万円くらい売上、長野のサウナ小屋のブランディング、採用用のブランディング動画、観光事業者が1年以内に月商200万円など。2024年は総額2,000万円くらい補助金獲得に関わっています。いまはHubSpotのパートナー、DELLのエキスパートでもあります。IT導入補助金の支援事業者で、福山だと多分2社のうちの1社。規模の大きいシステムは大手さんに任せつつ、限られた予算の中でやりたいことには結構協力できます。基本パソコンと見つめ合ってるのが仕事です。
— それと、玄関に置いてあるカラフルな椅子は妻の会社のもので、今は海外販売に広げています。将来的にはそちらの代表になる予定で、今は営業として動いています。和僑会のネットワークでドバイにも行きました。海外で会社やっている方、超大手の海外支社長の方々とも交流があって、そこで海外のネットワークを作っています。

社業の強みや独自性
— 地方、特に広島あたりはマーケティングの“基礎設計”ができる人がほとんどいない。Instagramが得意だとか、ツール一個の運用を“マーケティング”と勘違いしているケースが多い。マーケティングは全体設計で、市場分析や比較があって、商品設計があって、導線があって…という順番。フォロワーが増えても売上は上がらないんです。首都圏のマーケ会社なら月100万円くらいが普通で、地方は市場がないから入ってこない。だから自分は低単価で全体設計からやっています。
— 福山は“マーケティング”という概念自体が薄い。大企業の下請け構造で「ここを受けていれば何とかなる」という常識が長かった。東京の業者の言いなりになってWebサイトが乱立、広告運用はボロボロ、交通整理ができていない。自分が入ってディレクションして、要らないものは要らないとはっきり言う。いわば外部のWeb担当者、という立ち位置です。
事業所の歴史
— 個人としては2018年からBtoB/BtoBtoCの支援を始めて7年目。法人は2023年からで今年3期目。拠点は自宅事務所。今いる施設は妻の会社のもので、事業自体の歴史は35年くらい。今の場所に移したのが8〜9年前、宿が始まったのが8年前くらい。妻は3年前に代替わりしました。ちょうど子どもが生まれたタイミングです。鶏は最大20羽いて、いまはだいぶ減りました。ミニブタは2頭。里山ライフを楽しんでいます(食べません、可愛いペットです)。

起業(就任)に至るきっかけ
— 個人の収入が上がって負担も増えてきたのでマイクロ法人を立ち上げました。役員報酬は今5万とかで、税理士に「稼げ」と言われているので、今は仕事するしかない状態です。妻の会社については、将来的に自分が代表になる予定。海外に持っていくときに“家具”として流通させるのは基準が厳しくて難しいので、アートとして販売する方向にしています。
仕事のやりがい
— やりがいって感じたことがないんですよね。悪いところを改善する、遅いのを早くする――それが当たり前。お客さんに喜んでもらえるのは嬉しいけど、仕事はお金を稼ぐためのツール。ツールに使う時間をいかに短くしていくか、効率化していくか、最近はそこが自分のミッションです。
仕事で大切にしていること
— スピード感。テンポ良く。100%を出そうとして時間がかかるより、6割で出してPDCAを回す。クライアントワークでも、スピード感とコミュニケーションで安心してもらえることが多い。映像制作も最初から100%は出せない。見てから「次こうしたい」が出てくるので、まず出す、走りながら精度を上げる、というやり方です。スケジューリングはGoogleカレンダーとTimeTree。家族とはTimeTreeで、Googleカレンダーと同期。YEGの予定も入るようにしています。Google Workspaceの導入支援などIT全般もできます。

仕事の大変な面
— 同じ知見を持つ人が少ない。協力会社や業務委託の調達が難しい。コンサルは単価が高くて発注しづらい。だからAIをめちゃくちゃ使っています。3〜4ツールは常用。ただ、AIエージェントの精度はまだそこまで高くない。自分がプロンプトを打つのではなく、PCを使える学生などに「これ打っといて」と指示できる体制にしたい。アルバイトを育てるしかないと思っています。完成形まで持っていくには、こちらの指示が重要です。

今後の目標
— 役員報酬を上げろと言われているのは前提として、椅子は“家具”ではなく“アート”として海外に出していきます。香港とイギリスはミーティング済みで、美術館で展示できたら最高。値段が跳ね上がるし、芸術品になれば投資対象になる。香港に入れて投資家に買ってもらう、中東にもリーチしたい。カタールやドバイはイギリスの富裕層が2拠点生活していて、そこに届けば可能性がある。日本国内では商業施設の大手に入っている。海外は基準が厳しいので、アートとして行きます。
目標へ向けての課題
— 自分の法人の認知はまだ少ないし、マーケットサイズも小さい。解決策としてはYEG。イベントや県連の事業にも基本的に出席しています(どうしても行けない日はあります)。広島は紹介じゃないと仕事が取りにくい。広告でリードは取れても、その先に行かない。東京は入れ替えがドライでスピード感があるけれど、こちらは人となりから始まる。時間とお金の投資先が違う、というのは課題。情報のスピードも遅い。だからこそスピード感を持って動きつつ、わかりやすい図や言い換えで伝える。用語が難しいと言われることも多いので、腹落ちする説明を心がけています。

入会のきっかけ
の会社の名刺を整理していたら、大土井さんの名刺が出てきて、義理の母である会長に聞いたら「うち(母)が大土井さんのお客さんよ」って。そこから縁がつながった感じです。直接のきっかけはロータリーの集まりで、福山ロータリーじゃなくて、ニューキャッスルで開催されたIMってやつに初めて行ってみた時。隣に座ってた岡田祥平さんがいて、正直おもんなさすぎて、「面白い団体ないですか?」って聞いたら「YEGやろ」って。その場で「YEG入りたいんで紹介してください」と頼みました。去年の10~11月くらい、ちょうど1年前です。ただ福山は年1回しか募集してないって聞いて、ずっと待って、募集が開いたタイミングで即申請しました。
入会してよかったこと
一番は、大土井さんのYEGでの姿がすごく生き生きしていて、新しい“人としての顔”に出会えたこと。大西さんも岡田さんも楽しそうで、ふだんは真剣で静かな方々が、あんなに朗らかなんだっていう“本質”が見えた。みんながワクワクしている姿が見える場所なんだ、と実感しました。
入会後の良き出会い
例会でお会いする方々、皆さんが良き出会いです。福山で今まで出会ったことのない人ばかりで、YEGに入らなかったら絶対に話せないような方とも気軽に話せる。先日、廿日市市に伺った時も、YEGのつながりだからこそ生まれた会話がありました。これは本当に大きい。
入会後の変化
俺は“つるむ”のが全然好きじゃなかったんですけど、入ってみて、「知らないとなんともならん」と思った。だから、県連の事業もブロック大会も、全部出てみよう、と。役がやれるならやってみよう、と気持ちも変化しました。8年間ずっと一人で仕事をしてきて、地元でもないから友人がいない。ここで人間関係をつくれるのは面白いし、仕事にもつながればいいな、と思っています。
記憶に残るYEG活動
ブロック大会の勉強で廿日市市に話を聞きに行ったとき。組織活性化委員会として情報収集で伺って、会長の小林さんや大西副会長、吉田さんも一緒。みんな衝撃を受けた。「やば、無理…」みたいな空気も出たくらいインパクトがあって。でも、あの人数でブロック大会をやり切ったのを見て、「福山がちゃんとやればまともにできる」と確信しました。向こうはその年たしか50人前後。福山はその5倍以上。だから他単会からの期待値がめちゃくちゃ高い。「これ超えんとな」という話になりました。規模だけじゃなくて、福山を見る周りの目や勢いも含めて、自分の中でスイッチが入った出来事です。

今、新入会員だったとしたら
まず「知らないとなんともならん」。だから全部出てみる。県連の事業もブロック大会も、行けるものは全部行く。誰かに会いに行く。役が空いてたら手を挙げてみる。最初からうまくいかなくても、行けばわかるし、人に会えば景色が変わる――それを今、身をもって感じています。
これから出会いたい人
仕事面では、事業を本気で伸ばしたい人。新しいことに面白がって取り組める人。YEGの活動では、せっかく同好会もできたので、サッカーやバスケを一緒にできる人。スポーツをきっかけにでも、面白いことを一緒にやりたいです。
自己紹介(性格、自己分析)
MBTI は INFJ-A。自己主張型で感情は安定。自分の価値観やビジョンを大切にし、誰かをサポートするときも自分の意見をはっきり伝えるタイプ。基本は冷静で、困難な状況にも柔軟に対応できます。
INFJ の方がいたら、感覚が近いのかもしれません。
最近 IQ 診断をして 117。以前は 120 台でしたが、今はそこまで頭を動かしていないのかも、という自己分析です。
個人
休日は基本日曜だけ。息子と遊ぶ。草刈りもする。釣りは好きだけど、子どもができてからは行けていない。本はマーケティング関連をよく読む。映画は以前ほど見ていない。お酒は日本酒が圧倒的に好き。大吟醸より、山廃や生酛。アル添なしを、常温かちょい燗で。近所の酒屋で買ってきて飲むことが多い。うちの前が田んぼで、知り合いの飲食店の方が「ここでBBQやりたい」って集まって、先日もBBQしてました。車を停めても怒られない、いい環境です。
音楽は、実は作っていた側。大学時代、エイベックスの人に2年間ほど曲を渡していて、m-floのVERBALが作った「Mic Banditz」がクラブで歌うときに提供していました。EXILEができたばかりの頃に一緒に飲ませてもらったことも。制作は打ち込み、シーケンサーとサンプラーで。趣味として一気にやって、スパンとやめたタイプ。あの頃は『サウンド&レコーディング』って雑誌をよく読んでました。今は“趣味”と呼べるものは少なめ。ウォーキングや散歩、ライブ、潜る、酒を飲む。ミニマリスト寄りになりたいので、あれこれ増やすより必要最小限で気持ちよく暮らしたい感じです。

取材を通しての感想
今年度から、委員会側の皆さんにも場に入っていただいて、その場で交流する形になったのがめちゃくちゃいい。入ったばかりの人は自分の委員会以外と交流が少なくて、中身がわからない。長く居つかないとわからないより、早くつながっていったほうが参加率も上がるし、楽しさも増える。最初の自己紹介で事業説明は済んでいても、改めて“何をしているか”を話し合える時間はやっぱり必要。僕は広島ブロックでブロック大会の準備と政策提言に関わっていて、政策提言はもともと興味がある分野。福山市の企画政策には何度も通ってきたので、ここで関われるのは素直にうれしい。副委員長のクワタさんとは過去に動画制作でもご一緒して、彼がディレクションに入ってくれたり。そういう縁も含めて、YEGの「人でつながる力」を改めて感じました。









