「少女たちの羅針盤」映画製作の現場から【後編】TOP > 「少女たちの羅針盤」映画製作の現場から【前編】TOP> 第21話 |

【前 編】
第1回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」で優秀賞を受賞した水生大海さんの小説「少女たちの羅針盤」の映画化が決まり、昨年(2010年)6月末から7月末にかけて、福山市内全域でロケが敢行されました。
その折、福山商工会議所から地元支援スタッフとして参加した 職員・片岡 達樹 が経験した、感動と笑い、そしてちょっと大変だった48日間の物語を映画公開まで毎週お届けします。( 文責:片岡 達樹) |
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■特別寄稿■
おじさんたちの羅針盤
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update:2011.04.21
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その映画のスタッフルームは福山商工会議所9階のエレベータの横手にあり、見逃してしまいそうなほど奥まったところに位置していました。
目印も立て看板もなく、ここがスタッフルームなのかなと思わせるのはドアに貼ってある「少女たちの羅針盤」と記された1枚のポスターだけでした。
商工会議所のK氏から「ちょっと手伝って」と、電話をいただき、軽い気持ちでノコノコやってきたのですが、そんな思いはすぐに打ち消されることに。ドアを開けたとたん、フロアーには想像以上の人、人、人。
あちこちに分かれたスタッフとおぼしき人たち、がそれぞれ予定を確認し合ったり電話をかけたり、時間確認やら手配やらを身振り手振りしながら動き回っていたのでした。まるで、ドラマのERの現場みたい・・・と言えばお分かりいただけるだろうか、恐ろしいばかりの熱気。とにかく人のエネルギーにあふれている、という印象でした。
K氏に紹介されたのは美術のO氏、N氏、監督助手のU氏のお三方。K氏から『O氏は「座頭市」の美術も担当されたその分野の「大物」ですよ』と耳打ちされ、緊張はピークに・・・!
そこで初めてこの映画の概略を聞くことになるのですが、「島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の優秀賞、主演は成海璃子さん、忽那汐里さん、森田彩華さん、草刈麻有さん・・・えー!(本物の映画じゃん・・・!) 正直えらい所へ呼ばれたぞ、と思いながらも話は実務の説明へと移って行き、結局、私に科せられたのは、劇中のポスター、チラシ、チケットなどの制作でした。
そこは仕事柄なんとかこなせるかな・・・と思ったりしたのですが、なんと「劇中のHP制作もヨロシク」とのこと。しかも物語上重要な部分という・・・これは想像以上の重荷でしたが、監督助手のU氏からは「ここは地元の方と一緒に」と、乗せられて結局引き受けることになったのでした。
劇中のHPは、主人公のメンバーの一人が作った、という設定で、イメージに関してはU氏から資料や指示をいただきながら、Web記事やブログ制作においては、Webデザイナーにも協力を求めました。また、福山大学の情報メディア学科の学生達にお願いして、ブログに関しての情報や意見をもらうなど、彼らには随分助けてもらいました。
実際、映画の主人公達は高校生ですから、年齢の近い学生達のサポートは大いに役立ったのです。
ネタバレになると困るので、詳細は書けませんが、新聞社のWebニュースが登場する場面があります。
一生懸命作っている劇中の記事は架空のモノ。でも、見た目はリアルなWebニュースなのです。この作業中は虚と実が絡み合った不思議な感覚にとらわれてしまいました。
実際、深夜にひとりパソコンに向かい、架空の、しかも誹謗中傷記事を作っているなんてのはなかなか不気味な状況で、通常の生活ではあり得ないことですから、傍から見れば随分キケンですよ。正に映画ならではの世界でしょう。
夏の真っ盛り。撮影が続く中、何度か撮影現場に足を運んで見学したことも。
ロケ現場の片隅で、K氏もリュックを背負い汗だくで業務遂行中でしたね。ご苦労様です。
猛暑の中、主役の女の子達も大変ですが、仕事柄ついつい裏方さんに目がいってしまいます。
スタッフは率先して動き、誰の指示も待っていない。しかし常に自分が何をやるべきなのかを理解していて、撮影がスムーズに運ぶことだけを考えて行動していました。
さすがに映画作りのプロフェッショナル集団、仕事に対する真摯な態度は本当に素晴らしいと感じました。
さて、自分が担当した部分はどうなったんだろう、あのポスターは使ってもらえたのか、HPは上手く表示出来たのだろうか。そんな思いを抱いて、先日、ついに観ました。最後の試写会に参加しました。
映像は見慣れた福山がいっぱいで、なるほど、、、こうなるのか・・・と、場面場面で一喜一憂。ほんの少しだけ映画づくりの魅力が理解できたような気がします。とはいえ、おじさんたちも羅針盤の舵取りに、少しくらいは役立てたでしょうか。後はヒット祈願!福山市民のみなさんには、是非観て欲しいー!
PS.
この原稿を書き終えた段階で、配給会社の担当者から、オフィシャルサイトが出来上がったというお知らせをいただきました。
早速開いてみますと、私が担当した部分が冒頭に・・・。本当に参加してたんだなあと、改めて実感が沸いてきたのでした。
文:アートダック 大塚 勉
文:アートダック 大塚 勉
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次回のお話は、とうとう最終回「あとがき」です。
明日4月22日UP予定
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【お問合せ】
福山商工会議所 TEL:084-921-2345
cci@fukuyama.or.jp |
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