令和7年度基本方針
「ONE STEP」
−ともに成長、ともに未来へ−
令和7年度 会長 小林 孝章
はじめに
福山YEGは「親睦と研鑽」を設立目的の大きな柱として平成21年10月に設立されました。昨年度で創立15周年を迎えた福山YEGの歴史を築いてこられた諸先輩方、支えていただいた商工会議所関係者の皆様や地域の皆様へ深く感謝申し上げます。
絶えず変化を続ける現代の社会状況は、先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態にあり、経済やビジネス、個人や家族の生活に至るまで複雑さを増しています。私たちが今直面している時代は、経済や社会構造が大きく変化し、多様な価値観や技術革新が絶え間なく押し寄せる「変革の時代」です。このような時代において、私たち青年経済人には、変化を恐れず、理想の未来へ向かって勇気を持って一歩を踏み出し、果敢に挑戦することが求められています。
これまで福山YEGは多岐にわたる事業を実施してまいりました。今年度も様々な事業を実施し、令和10年度には福山YEGが主管となる中国ブロック大会が予定されています。一つ一つの事業や大会を実施することはとても大切なことですが、大会や事業を実施すること自体が私たち福山YEGの目的ではありません。福山YEGの規則第1条(目的)に「本青年部は、会員相互の親睦と連携を密にし、企業経営者としての研鑽を積み、福山商工会議所の事業活動への参画または協力を通じて地区内における商工業の振興を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。」と明記されています。YEGは青年経済団体です。私たちがYEGでの活動を通じて「親睦と研鑽」を積み重ねた先には「地域の経済的発展の支えとなり」、「豊かで住みよい郷土づくりに貢献する」ことが目的であることを忘れてはいけません。もちろん事業を実施することで直接的に地域の活性化を図ることもできますし、私たち自身が成長して自社企業を発展させることによって地域経済の発展に貢献することもできるはずです。会員一人一人が新しい視点による創造力と行動力で自己変革に挑むことで、個人としても組織としても大きな成長を得ることができ、地域社会全体が活気に満ちたものとなり、地域の発展に寄与できると信じています。
福山において最大規模の青年経済団体である福山YEGには、地域社会から大きな期待が寄せられています。その期待に応えるため、福山YEGの会員の皆様とともに、明るい未来へ向かって一歩一歩前へ進み成長し続けていく。その願いと誓いを込めて令和7年度のスローガンを掲げました。
組織の変革
時代や環境の変化の中、永続的な発展のためには組織も変革しなければなりません。全ての会員が集まる総会と例会は福山YEGの変革を支える重要な事業です。総会は福山YEGの未来を決定するために会員の意思を集めて合意形成を図る場であり、例会セレモニーは福山YEGが大切にしている価値観やビジョンを共有する場です。一堂に会し、つながりを持つ場であるからこそ、細部までしっかりとした運営をすることで、会員の帰属意識が高まり、スムーズな会の運営に結びつくと考えます。また、会員同士の情報共有のため各委員会や出向者が取り組んでいる内容を積極的に発信することはもちろん、対外的にもウェブサイトやSNSを活用した幅広い広報活動により透明性のある組織運営を行います。
3年後、令和10年度には、初めて福山YEGが主管となって中国ブロック大会を担うことになります。私たちは主管YEGである意識をもち、同じ目標に向かって足並みを揃え、準備を進めていかなければなりません。大会の成功へ向かってともに歩みを進めることは人も組織も大きく成長することができる飛躍の機会でもあります。福山YEGとして大会の準備を進めていくことはもちろん、福山YEGを支えていただいている親会や行政との交流を図ることで強固な連携をつくり、さらなる地域社会への貢献を果せる組織となるように成長していきましょう。
知識と経験の共有による成長
福山YEGは様々な業種や企業規模の経営者で構成されていて、それぞれが異なる視点や専門知識を持っています。会員同士のネットワークにより企業を知ることで、他業種の成功事例や新しいアイデアに触れ、自社企業のビジネスにも活かせるヒントを得ることができます。さらに深くお互いの業務内容やニーズを知ることで、協業や顧客の紹介など、相乗効果を生む関係を構築でき、新たなビジネスチャンスもあります。
会員間の情報交換や親睦は、ビジネスのためだけでなく、経営者としての成長を促進する重要な要素です。曾子の言葉に「君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く」とあるように、自分とは異なる経験の青年経済人と親睦を深めることは個人としての成長にもつながります。そして「仁」は儒教で他人を思いやることを意味しています。多様な価値観をもつ青年経済人が思いやりをもって語り合うことによって心と心が結ばれ、互いに影響を受け合いながら成長があると考えます。自分とは異なる価値観を受け入れる思いやりをもって親睦を深め、互いに成長しましょう。
継続的な学びと自己研鑽
令和時代の経済活動は地域や国境を超えたものとなっていて国際社会の一員としてグローバルな視野が必要です。さらには DX、男女共同参画社会の推進、SDGs への取り組みなど、社会構造の大きな変化が物凄いスピードで進んでいます。これらの変化に対応するため、常に時代に沿った知識を習得しなければなりません。論語の一節に「学は及ばざるが如くせよ。猶之を失わんことを恐れよ」とあります。私たちはいつまでも学び続けることが大切です。学ぼうとする心、強い向上心、成長しようという意志があればYEGでは多くの学びを得る機会があります。外部講師を招いた研修や成功者の講演では、知識や経験の共有だけでなく、経営者のリスキリングやモチベーション向上など、多面的な効果がある貴重な機会です。現地へ赴き視察をすることは日常業務では得られない新たな視点や知識を体感し、自社の経営や活動に活用できることもあるでしょう。
セミナーや研修での学びが、青年経済人としての変革力を高める一助となるように、これからの時代に必要な学びとは何かを探り、その学びの場を提供してまいります。
地域の枠を超えた親睦と研鑽
日本全国には3万2千人以上のYEGメンバーが活動しています。各地域のYEGは、その土地の特色や経済環境に合わせて活動しており、地域ごとに異なる知見やノウハウを持っています。他のYEGと連携することで、福山だけでは得られないアイデアや解決策に触れることができ、事業運営の新しい視点を得ることが可能です。特に近隣地域のYEGとの連携は協力体制を作りやすく、ビジネスだけでなく自然災害や地域の緊急事態など、いざという時に相互に支え合えるネットワークになります。また、他の地域のYEGとも連携を強めてYEGネットワークを活かした支援により被災地域の経済とコミュニティの復興に貢献しましょう。
福山YEGは広島県商工会議所青年部連合会(県連)、中国ブロック商工会議所青年部連合会(中国ブロックYEG)、日本商工会議所青年部(日本YEG)に所属しています。各種大会や交流事業は、地域活動を超えた広い視点と人脈を作り、YEGの価値や目的を再認識するための重要な機会です。大会や交流の場で他の地域の取り組みを知ることにより、自分たちの地域で実施できる新たなプロジェクトや改善案を考えるきっかけになります。また福山YEGの仲間とともに外へ出て日常とは異なる経験をすることは、会員同士の親睦にもつながる非常に価値のある時間です。
福山YEGから一歩外へ出て、ともにYEGの連帯の証を感じましょう。
地域社会への貢献
少子高齢化が進み、私たち大人は社会全体で子どもを育てる時代へと変革していかなければなりません。今年度10回目になるジュニアエコノミーカレッジは未来の地域経済を支えるリーダーを育てる場です。子どもたちが目を輝かせ、積極的にビジネスを学ぶ姿には希望と喜びがあります。子どもたちの柔軟で斬新な発想や純粋な気持ちで取り組む姿勢に触れることは、私たちにとってもビジネスの基本を再確認する機会にもなるでしょう。10回目の節目を迎え、さらに一歩進んだジュニアエコノミーカレッジをつくりあげましょう。
地域社会に貢献する事業は、福山YEGと地域社会との結びつきを深め、地域の持続的な発展を支える重要な役割を果たします。福山YEGはこれまでも地域活性化事業を実施し、昨年度は福山城冬まつりを主催者として実施しました。「まつり」は単なるイベントではなく、地域の認識を象徴する重要な文化資源です。私たち福山YEGの地域活性化事業もこれまでの文化を伝承しつつ現代の経済活動と融合し、新しい文化の創造に向かってリデザインすることで新たな価値を創造できる貴重な機会です。未来へ向けて地域の人の心に残る事業により、更なる地域の活性化に貢献しましょう。
おわりに
「星の王子さま」の著者としても有名なアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが残した言葉に「救いは一歩を踏み出すことだ。さて、もう一歩。そしてこの同じ一歩を繰り返すのだ」とあります。私たち経営者がビジネスを永続させるには、幾多の困難があります。その困難を乗り越え、未来へ向かうためには「一歩を踏み出すこと」、つまり行動を起こすことが大切です。「もう一歩」を踏み出せば必ず新しい景色が見えてきます。更にその先に何があるのでしょうか。成功ばかりではないかもしれません。それでも「同じ一歩を繰り返す」。それは一度きりの行動ではなく、日常の小さな行動であり努力を積み重ねることです。どんなに小さな一歩でも、一歩を踏み出すためには大きな勇気が必要です。迷いや不安があるときでも、勇気をもって一歩を踏み出すことで未来への成長の道が開ける、という前向きなメッセージであると感じています。
YEG活動を通じて「親睦と研鑽」を重ね、費やした時間は必ず成長の糧となり、見えてくる未来は変化するはずです。福山の未来をつくる青年経済人として、新たな一歩がのちに大きな一歩になることを信じて、ともに歩みを進めましょう。